中学校の卒業式の朝、雲ひとつない青空が広がっていた。校庭の桜の木は、春の訪れを告げるように、ほんのりと花をつけ始めていた。体育館は、卒業式の準備で賑わい、生徒たちの緊張と期待が入り混じった空気が漂っていた。
式典が始まり、校長の挨拶、教員の言葉に続いて、PTA会長が壇上に上がった。彼は、いつも生徒たちに親しみやすく話しかけていたが、今日は何かが違った。彼の姿が徐々に大きくなり、光を放ち始めた時、会場は驚きの声に包まれた。
突如、PTA会長の姿は古代の巨人族に変わっていた。彼は穏やかな声で、しかし力強く話し始めた。
「心の地ならしを」と彼は言った。「自分に強固な壁を築こう。そして門戸はいつでも開けておけ」と続けた。
彼の言葉は、単なる祝辞を超えていた。彼は生徒たちに、自分自身をしっかりと理解し、自己防衛のための強さを持つことを勧めていた。しかし同時に、外の世界に対して心を開き、新しい経験や人々を受け入れることの大切さも伝えていた。
巨人の姿のPTA会長は、生徒たち一人一人の目を見つめ、彼らの不安や期待を理解しているかのように見えた。彼の言葉には、卒業生たちが直面するであろう挑戦への準備と、未来への希望が込められていた。
「君たちはこれから新しい世界に足を踏み入れる。その世界は君たちが今まで経験したことのないものかもしれない。しかし、心の地ならしを行い、自分自身を強く保ちつつ、新しい可能性に心を開いてほしい」と彼は続けた。
会場には、生徒たちだけでなく、教職員や保護者たちも彼の言葉に心を打たれていた。その瞬間、卒業式は単なる終わりの儀式ではなく、新しい始まりへの扉を開く瞬間となった。
式が終わり、生徒たちは教室に戻りながらも、PTA会長の言葉を思い返していた。彼らは自分たちの強さと、心の開放性を大切にしながら、新しい世界への一歩を踏み出す準備ができていた。
夕方になると、体育館から出てきた生徒たちを、桜の木が優しく見守るようにしていた。彼らの卒業式は、忘れられない特別な思い出として、それぞれの心に深く刻まれていた。