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逐語録は緻密に。インタビュー音声の保存は絶対に。

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先日、質的研究のことでお問い合わせをいただいた。

すでに逐語録は完成しているため、コード化とカテゴリ化を当社で作成してほしいというご要望。

 
「了解しました!」ということで、逐語録とインタビュー音声を送っていただきたい旨、お伝えしたところ、どうやらインタビュー音声はすでに削除していて、逐語録しかないらしい。

インタビュー音声を削除するのって珍しいなあと思いつつ、逐語録を送っていただいた。

 
で、見てみたところ、その逐語録は何かおかしい。

聞き手側の発言がないのと、回答者側の発言はあるにはあるが、ものすごく端折られていて、かつ、ブツ義理になっていて、文章として成立していないのだ。

本来的に、逐語録は話した通りに、極端には呼吸一つも逃さないくらいに精緻に文章化する必要があり、それでも実際の声とテキストではニュアンスに差ができることから、音声も並行して用いながらコード化をおこなっていく必要がある。

送っていただいた逐語録だとそれに程遠く、コード化どころか、インタビュー内容を正しく理解することも困難に思えた。

 
インタビュー音声があれば、それを聞くことができるので問題はないのだが、その音声が保存されていないのだ。

 
これではやりようがなく、せっかくご連絡をいただいたにもかかわらず、お断りすることにした。

申し訳なさもあったが、明らかに作成の材料が不十分だった。

 
今回の逐語録は、好意的に見ればインタビュアー(研究者本人)であれば理解できる作りだったのだと思う。本人であればコード化が可能だろう(と思わなくもない。思うわけでもない笑)

しかし、質的研究の素材として、第三者が見た時に「よく分らない」ものだと、それはそれでよくはなく、やはり緻密な逐語録の作成の必要性を感じた。

 
あとは、インタビュー音声の保存だ。

おそらくお客様は、インタビューイの個人情報を考えて削除したのだと思う。それは正しいのだが、いきなり削除せずに、適切に取り扱い、せめてその質的研究の論文やレポートが完成するまでは保存しておいたほうがいいのではないかと感じた。

 
実際問題、逐語録作成・コード化・カテゴリ化は、重要なプロセスではあるが、研究の素材であり、(テーマにもよるが)それそのものが結論にはなり得ないことを考えると、なかなか大変労力の要る行為だと思う。

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