ご近隣は近隣の敬語?
先日、住宅の建設会社様から、工事の騒音を近隣の住民に配るお詫びの文面作成のご要望をいただきました。
内容自体は、とりたてて厳しいシチュエーションではなく難なく作成し、その後、お客様も円滑に着工された模様です。(今は前の建物の基礎を解体しているところとのことです)
もともとお客様が作成された文書があって、「どうも中身が薄い気がする」とのことで当社にご依頼をいただき、大幅な加筆修正を行なって仕上げました。
その文面を作成していて、少し気が付いたことがあります。
ご近隣の皆様へ
工事をお知らせする文書でよく見る文言です。
私たちは普段、ご近所さん、お隣さん、など、近所(=近い所)、隣(=文字通りの隣)という言葉を擬人化して使っているわけですね。ご近所さんっていうと隣三軒の方々をぱっと思い浮かべますし、お隣さんって言うと文字通り隣の家の家族を思い浮かべます。
それと同じ要領で、近隣も擬人化しているため、「ご」を付けて敬語のように使っても何のひっかかりもないわけです。
ビジネス文書、とりわけお詫びの類の文書に国語的美しさは求められず(間違ってても良いという意味ではなく)、内容と気持ちをしっかり伝えることが重要で、その意味では、国語的にどうかを突き詰めた作成の仕方よりも、「どのように表現すれば相手に伝わるか」を考えて作成することが大切です。