稀にこういったご依頼のいただき方がある。
「まだ存命中だが、事前に喪主の挨拶の原稿を準備しておきたい」
大切な方が天に登った後での喪主の挨拶の打ち合わせも心にグッと感じるものがあるが、ご存命中の方が天に登ったことを想定してお客様と挨拶文の打ち合わせをするのは、それ以上にグッとくるものがある。
少し先の未来を想定するのだ。
それもとても少し先で起こす悲しい出来事を想定して。
悲しみ・悔やむことよりもご参列の皆様への御礼が本旨だ。
自らのさよならバイバイの気持ちを心の中にしまい込んで、喪主の役割を果たす。
その切なさと強さが同居した立場こそ喪主である。